2026年放送の『VIVANT』第2シーズンでは、生成AIを使った映像がドラマ本編に登場しています。発表を聞いて「どのシーンがAIなの?」「爆発まで本当に撮影したわけではないの?」と気になった人も多いのではないでしょうか。
実は、初回にあたる第11話だけでも、病院の爆発、監視カメラ映像、ニュース画面など複数の使用例が明らかになっています。この記事では、TBSが公表した場面と再生位置を整理し、使用技術や制作の考え方、AIハヤトとの違いまでわかりやすく紹介します。
この記事の目次
VIVANT 2026で生成AIが使われたのはどのシーン?第11話の場面が判明
最もわかりやすい生成AI使用シーンは、2026年7月26日放送の第11話、開始約4分40秒の病院屋上の爆発映像です。このほか約17分15秒の監視カメラ映像などにも使われています。第11話は2023年版から通算した話数で、第2シーズンとしては第1話に当たります。
TBSが8月8日に公開した制作関係者への取材では、使用箇所が具体的に紹介されました。まずは再視聴する際に確認しやすい形で整理します。
| 場面 | 確認の目安 | 公表されたAI使用内容 |
|---|---|---|
| 半田総合病院の屋上 | 第11話・開始約4分40秒 | 機械室が爆発する短い映像 |
| AIハヤトのディスプレー | 第11話・開始約17分15秒 | 旭川共済病院のボイラー室爆発を示す監視カメラ映像 |
| 別班特別準備室 | 第11話・時刻の個別公表なし | ニュース映像の一部 |
| 太田梨歩の部屋 | 第11話・時刻の個別公表なし | パソコンのデスクトップ画面の一部 |
開始約4分40秒:半田総合病院の屋上で起こる爆発
最初に注目したいのは、愛知県の「半田総合病院」の屋上にある機械室が爆発したとされるカットです。画面に映るのはわずか数秒ですが、爆発と炎が建物の一部になじみ、カメラの視点が動いても不自然に見えないよう作られています。
この場面がTBSドラマにおける生成AI映像の本格利用第一号として紹介されました。つまり『VIVANT』は、制作発表でAIを使用すると宣言しただけではなく、実際の放送映像に取り入れた作品です。
見直すなら、爆発の大きさだけでなく、屋上設備との重なり方や煙の広がりにも注目してみてください。ただし「ここはすべてAIで生成された建物だ」とまでは公表されていません。生成AIによる特殊加工と、実際に撮影された土台の映像は分けて考える必要があります。
開始約17分15秒:AIハヤトが見せる監視カメラ映像
もう一つ、使用箇所が具体的に判明しているのが、別班のメンバーの拉致についてAIハヤトが説明する場面です。防衛省近くの地下にあるとされる空間で、大型ディスプレーの中央に「旭川共済病院」の監視カメラ映像が映し出されます。
そこで示されるボイラー室の爆発映像にも生成AIが使われています。屋上の爆発を正面から見せる映像とは異なり、劇中の監視記録という形式で登場するため、見落としやすい部分でしょう。
しかも、物語上は「事件を検証するための映像」です。視聴者は犯人や拉致の経緯を読み取ろうとするので、映像の制作方法まで意識しないことが多いはずです。事件の情報を伝える画面の内側にAI生成映像がある点が、この場面のおもしろさです。
ニュース映像と太田梨歩のPC画面にも使用
爆発以外では、別班特別準備室に流れるニュース映像の一部と、ブルーウォーカーこと太田梨歩の部屋にあるパソコンのデスクトップ画面などにも生成AIが使われています。ここでは巨大な爆発のような派手な効果ばかりが目的ではありません。
ニュースの画面やPCの表示は、登場人物の会話や判断を補強する脇役の映像です。短く映る画面でも、作品の設定に合う内容を用意しなければなりません。そうした細かい映像づくりでもAIが活用されたことがわかります。
ただし、ニュース画面のどの部分なのか、太田のPC画面のどの表示が生成AIなのかについて、TBSの記事は秒単位の内訳まで示していません。「映っている文字やアイコンはすべてAI製」と広げて受け取らないことが大切です。
AIハヤトのシーンは全部生成AI?劇中AIと映像制作のAIは別物
混同しやすいのが、作中に登場する「AIハヤト」と、制作スタッフが映像づくりに使った生成AIです。名前が似ていても役割はまったく違います。ここを区別すると、どの映像がAI製なのかを考えやすくなります。
AIハヤトは物語に登場する情報分析システム
AIハヤトは、別班を支える高性能な情報分析システムとして描かれる存在です。乃木たちに情報を提示し、事件の状況を説明する役割があります。これはあくまでドラマの世界の設定であり、映像を作るためにTBSが導入したツール名ではありません。
AIハヤトの声を担当するのは高山みなみさんです。巨大なディスプレーと声による応答が組み合わさることで、情報がすぐに集まる未来的な空間が表現されています。
視聴者から見るとAIハヤトが表示した映像も「AIが作った映像」に感じられますが、劇中でAIが生成したという設定と、実際に制作工程で生成AIを使用したという事実は別です。両者が重なる場面もありますが、常に一致するわけではありません。
700枚を超えるLEDパネルで作った部屋は実際のセット
AIハヤトの部屋は、背景をすべて後からAIで合成した空間ではありません。TBSの制作スタッフ座談会によると、700枚を超えるLEDパネルで周囲360度を囲んだ大きなセットを用意し、撮影が行われました。
画面に映す素材は助監督たちも制作しており、撮影は全話分を約2週間かけてまとめて実施したそうです。セットの内側に立つ俳優は、壁に広がる映像を見ながら芝居ができるため、単純なグリーンバック撮影とは事情が異なります。
その一方、画面に表示される内容の一部にはVeo 3による生成映像も含まれます。「AIハヤトの部屋は実際のLEDセット」「その画面の一部には生成AI素材もある」という二つの事実は矛盾しません。現実の撮影技術と生成技術を組み合わせた表現なのです。
AIハヤトの声や俳優の演技も全てAIというわけではない
AIハヤトが登場すると、声や俳優の演技までAIに置き換わっているのではと疑う人もいるかもしれません。しかし、制作側が説明しているのは、映像づくりや一部の音声加工などへのAI活用であり、出演者の芝居全体を生成したという話ではありません。
実際、AIハヤトの声の収録スケジュールが合わない際には、助監督がセリフを代読して俳優と芝居を合わせたという制作秘話も公開されています。完成映像の裏で、人が演技の間合いやタイミングを作っていたことが伝わるエピソードです。
部屋全体の雰囲気が先進的だからといって、あらゆる要素をAI製と決めつけるのは早計です。生成AIを使った「映像素材」と、俳優がセットで演じた「芝居」の区別を意識すると、制作の工夫が見えてきます。
VIVANT 2026の生成AIには何を使用?Veo 3とNano Bananaの制作手順
2025年10月、TBSはGoogleの動画生成AI「Veo 3」を地上波ドラマ本編へ導入すると発表しました。実際の制作現場では、さらに静止画生成AI「Nano Banana」も組み合わせ、狙った映像に近づける方法が使われています。
Veo 3は短い映像の動きを作るために活用
Veo 3は、指示文や画像をもとに動画を生成する技術です。『VIVANT』では、炎や爆発のように動きが重要な部分で活用されています。爆発物を実際に設置しなくても、映像上で危険な出来事を表現できる点は大きな特徴でしょう。
とはいえ、入力欄に「リアルな爆発」と書くだけで、作品に合ったカットが完成するわけではありません。爆発の位置、燃え方、撮影された建物との関係、カメラの動きなど、細かな条件をそろえる必要があります。
TBSアクトのVFXスタッフは、希望に合う動画が出るまで試行錯誤が必要だと説明しています。同じ指示でも毎回まったく同じ結果になるとは限らないため、映像制作の専門知識とチェックする目が欠かせません。
Nano Bananaで炎の静止画を作り、Veo 3で動かす
制作担当者が明かした方法では、まずNano Bananaで炎の細かな見た目を静止画として作ります。その画像をVeo 3に渡し、炎を動かした映像に仕上げるという流れです。静止画の得意な部分と動画生成の得意な部分を分担させています。
ここで重要なのは、AIを一度だけ動かして終了するのではなく、専門家が「どんな炎なら自然に見えるか」を先に考えている点です。現実の炎の特徴を知らなければ、派手でも説得力に欠ける映像になる可能性があります。
さらに、生成された素材を既存の映像になじませる仕上げ作業も必要です。生成AIは完成品を自動で納品する存在というより、制作スタッフが使う新しい映像素材の作成方法だと捉えると理解しやすいでしょう。
従来のCGやVFXと何が違うのか
CGはコンピューターで画像を描く技術、VFXは実写映像に特殊な効果を加えて、現実には撮影しにくい場面を作る技術の総称です。生成AIは、その映像や素材を作り出す手段の一つとして使われています。つまり、生成AIとVFXは必ずしも対立する言葉ではありません。
従来なら、爆発の形状や煙の動きを細かく設計して作る工程に大きな手間がかかりました。生成AIなら候補となる映像を比較的短時間で得られますが、狙いどおりの結果が出る保証はありません。
精密な調整が必要なカットでは従来手法が向き、短い炎や背景素材では生成AIが向く場合もあります。どちらが優れているかという二択ではなく、最終的な画面に合わせて使い分けるのが『VIVANT』の現場の考え方です。
なぜVIVANTで生成AIを導入した?爆発映像だけではない狙い
『VIVANT』の魅力といえば、海外ロケを含む大きなスケールと、登場人物の思惑が交錯する緊張感です。そこに生成AIを加えた理由は、撮影を減らすためだけではありません。限られた時間と予算を、作品の重要な部分に振り向けるという狙いが公表されています。
危険で費用がかかる爆発シーンを表現しやすくなる
実際の建物で爆発を起こす撮影は、安全管理や許可の面でも簡単ではありません。CGで一から作る場合も専門的な作業が積み重なります。VFX担当者によると、従来型の制作では爆発の1カットに数百万円かかるケースもあるといいます。
生成AIを使えば、短い炎や爆発の候補映像を少人数・数日程度で作れる可能性があります。だからこそ、第11話のような短い爆発カットで効果を発揮しやすいのです。
ただし、この金額や作業日数を『VIVANT』のすべての爆発に当てはめることはできません。内容や修正回数によって負担は変わり、生成AIにも利用コストがかかります。あくまで制作方法の選択肢が増えたことが重要です。
背景映像や小道具にも使えるため作品世界が広がる
生成AIが役立つのは、爆発のような派手な場面だけではありません。ニュース映像、画面表示、実在しない場所の風景など、短いながらも設定を伝えるカットでも利用できます。『VIVANT』では監督が、実景カットそのものや小道具の段階にもAI利用が広がったと説明しています。
例えば、登場人物が見ているニュースがほんの数秒でも、内容が事件の背景と一致していなければ、物語の説得力が弱まります。そこで自然な素材を用意できれば、説明台詞だけに頼らずに状況を伝えられます。
もちろん、ニュースらしく見せることと、現実に起きた事件であることは別です。ドラマ内に登場する施設名や監視映像は、作品の中での表現として見る必要があります。現実の事件の証拠として扱うものではありません。
節約した時間を俳優の芝居や物語へ回せる
TBSの飯田和孝プロデューサーは、制作工程の効率化で生まれた時間や人手を、物語の中心となる登場人物の感情を描く作業へ振り向けたいと語っています。つまり、生成AIの採用そのものを見せ場にするのが最終目的ではありません。
別班の仲間が連れ去られる危機や、乃木が誰を信じるのか迷う場面では、映像の派手さだけでは緊張感は生まれません。演技、間の取り方、音楽、編集など、多くの要素が組み合わさって初めて観客を引き込めます。
映像処理を効率よく終え、そのぶん重要なシーンを磨けるのであれば、生成AIを使用したかどうか以上に作品全体の完成度が評価されるでしょう。AIを取り入れる理由を制作側の目的から考えると、爆発映像の数秒にも意味が生まれます。
生成AI使用シーンを見分けるには?見返すときのチェックポイント
「何も知らずに見たときは気づかなかった」という人もいるはずです。生成AIを使ったカットは、いかにも人工的な映像とは限りません。公表された箇所を手がかりに、画面全体とのなじみ方を確認するのがおすすめです。
第11話は冒頭の爆発とディスプレー内の映像から確認する
まず、第11話の再生開始約4分40秒を目安に屋上の爆発を見ます。短いカットなので、映像を止めるより一度は通常の速度で再生し、動きとして自然に感じられるかを確かめてみてください。続けて約17分15秒のAIハヤトの説明場面に注目します。
後者は画面全体が生成AIというわけではなく、中央に出る監視カメラ映像が確認対象です。大きなセットの中の小さな表示へ視線を移すと、最初の視聴では気づきにくかった映像上の工夫が見えてきます。
一度目は犯人探しのため、二度目は映像の仕組みに注目するためと、目的を変えて見るのもよい方法です。どちらの場面もストーリーに意味があるため、技術だけを見て展開を見失わないようにしたいところです。
火や背景がリアルでもAI製と断定できない
最近は「煙の形がおかしい」「細部がぼやけている」といった特徴から生成AIを見分けようとする声があります。しかし、画質や配信の圧縮、被写界深度、手ぶれなどでも見た目は変わります。違和感があったというだけでは使用の証拠になりません。
反対に、見た目が自然だから実写と断言することもできません。今回の屋上爆発は、違和感のない短い映像を目指して制作されています。プロが仕上げた映像ほど、見ただけで制作方法を見分けるのは難しくなります。
確実に区別したい場合は、制作側が具体的に明かしたシーンを基準にするのが安心です。自分で気づいた点については「AIかもしれない」という考察にとどめると、作品の楽しみ方も広がります。
第12話以降もあるが、全使用シーンの完全な一覧ではない
第2シーズンは2026年7月26日から2クール連続で放送されています。宮崎陽平監督は、編集や仕上げの段階で生成AI使用箇所が当初の予定より増えたと説明しました。実景映像や小道具も含め、活用の範囲は広がっています。
ただし、制作発表や2026年8月の取材記事に名前が挙がった場面だけで、後の放送分まで含む完全な使用リストができるわけではありません。第12話以降の各場面について、使用の有無を推測だけで断定することは避けたいところです。
再視聴するなら、まずは公表済みの第11話の四つの使用例を確認し、その後にニュース、監視映像、背景の短いカットを意識してみてください。AI使用の証拠探しと、作品から受ける印象の変化を分けて楽しむのがよさそうです。
生成AIの導入でVIVANTの面白さは変わる?演出と物語への考察
生成AIを使ったと知ると、「手間を省いただけでは」「以前のような迫力がなくなるのでは」と不安になるかもしれません。しかし、今回の公表事例を見ると、登場人物のドラマを自動生成することより、世界観を支える映像の一部を作ることに重点が置かれています。
AIが目立たないほど事件の緊張感は保たれる
屋上の爆発は、映像自体の派手さを楽しむと同時に、事件の異常さを知らせる役割を持っています。監視カメラの映像は、別班メンバーの拉致という大きな謎を理解する手がかりです。どちらも「AI技術を見せるための場面」ではありません。
この二つを比べると、生成AIが自然に背景へ溶け込み、物語を理解するうえで必要な情報だけが伝われば、演出としては成功に近づくと考えられます。視聴者が気づかないこと自体が、必ずしも問題ではないのです。
もっとも、表現として不自然なカットが続けば没入感は損なわれます。生成AIは導入しただけで映像がよくなるわけではなく、従来の撮影と同じように最終的な仕上がりが問われる技術といえます。
AIハヤトの存在と現実のAI技術が重なる面白さ
第2シーズンには、物語の情報分析を担うAIハヤトが登場します。そしてそのAIハヤトが表示する映像の一部を、現実の制作現場では生成AIが作っています。この二重構造は、2026年版らしい興味深い点です。
作中の人物にとってAIハヤトは情報を示す存在ですが、視聴者はその画面を見て情報の正しさや意味を判断します。別班と公安の駆け引きを描く作品だけに、映像が提示されたからといって、その情報の解釈まで一つに決まるとは限りません。
これはAIハヤトの判断が誤りだと示す根拠ではなく、作品のテーマから考えられる見方です。「誰が情報を出したのか」「なぜその場面で見せられたのか」を意識すると、監視カメラ映像が物語の中で持つ役割も一段深く感じられます。
生成AIが得意な部分と人が作る部分を分けて見る
『VIVANT』第2シーズンでは、アゼルバイジャンやタイでの大規模な撮影も行われています。つまり、生成AIの導入によって海外ロケや本物のセットが不要になったわけではありません。現地でしか撮れない表情や空気感を取り込みながら、別の場面では新技術を利用しています。
AIハヤトの部屋にLEDパネルを大量に設置したことも、そうした考え方の表れでしょう。現実にセットを作るからこそ俳優が周囲を感じながら演技でき、その画面内には必要に応じて生成映像を組み込めます。
どこまでがAIなのかを知ったあとでも、注目するべきなのは出演者の表情や選択、物語の伏線です。技術の使い分けを知ることは、作品の手作り感を否定するよりも、制作の複雑さを実感するきっかけになるのではないでしょうか。
まとめ|VIVANT 2026の生成AIは第11話の爆発と画面映像が確認ポイント
『VIVANT』2026年版で生成AIが使われた場面として、TBSが具体的に公表しているのは第11話の開始約4分40秒の病院屋上の爆発、約17分15秒の監視カメラ映像などです。ニュース映像の一部や太田梨歩のPC画面にも使われています。
使用技術は主にVeo 3で、炎の表現ではNano Bananaも併用されています。ただし、AIハヤトの巨大な部屋そのものはLEDパネルを用いたセットであり、映像のすべてが生成AI製という意味ではありません。
第12話以降もAI活用が広がっているものの、すべての場面が個別に公表されているわけではありません。確かな使用例と自分なりの考察を分けて見返すと、事件の謎に加えて『VIVANT』の映像表現の工夫も楽しめます。
本記事は2026.10.16に取得した原稿を掲載しています。考察には筆者の解釈が含まれ、今後の展開を確約するものではありません。最新の作品情報はTBS公式サイトをご確認ください。誤りやお気づきの点はお問い合わせからお知らせください。